脱ステだけでアトピーは治るか

ネットで脱ステと調べると、脱ステ◯年で皮膚が綺麗になったといって綺麗な皮膚の写真があがっている人もいれば、脱ステ◯年目という言葉とともに重症アトピーのままの写真が上がる人もいます。

結局脱ステでアトピーは治るのか治らないのか。今回はそのことについて書きたいと思います。

スポンサーリンク

脱ステとは

脱ステとはそれまで外用や内服していたステロイドをその名の通り全て断つことです。とはいえ脱ステにも流派のようなものがあり、いきなり全ての外用を断つ方法、徐々に断つ方法、保湿から減らして断つ方法など様々な脱ステの手法があります。一応現在のところ有名なのは佐藤健二先生の脱ステ脱保湿という、すべての外用や保湿をやめる方法です。

佐藤健二先生の脱ステの方法はこの本に詳しく書いてあります。まさに脱ステのバイブルです。脱ステをする人は必見です。

ステロイド依存性皮膚症は,アトピー皮膚炎などの皮膚疾患のためにステロイド外用剤を使用中,その使用部位に萎縮,光沢,潮紅,毛細血管拡張が出現し,ステロイド外用の中止で,程度の差はあれ,皮疹の増悪,痒みの増強,浸出液増加,痂皮形成などの症状の出現する皮膚の状態をいう.これは,ステロイド外用剤の中止・減量で皮膚炎が出現し再使用で軽快することからこれを中止できず,徐々にステロイド外用剤の使用が増加・長期化する結果生ずると考えられる.

http://www5c.biglobe.ne.jp/~atopy/papersatou1994-06.htmより引用

ステロイド依存性皮膚症を発症すると、ステロイドなしでは正常な肌を維持できなくなります。そして本来のアトピー以上の痒みを感じるようになり、皮膚は薄く弱くなり、皮膚の免疫力が落ちます。

脱ステで有名な佐藤健二先生はこのような状態のアトピーのひとを、成人型アトピー性皮膚炎と呼んでいて、成人型アトピーは以下の数式で表せると言っています。

成人型アトピー性皮膚炎 = 本来のアトピー + ステロイド依存性皮膚症

勘のいい人なら気づいているかもしれませんが、脱ステは、このステロイド依存性皮膚炎を治す治療法です。逆に言えば、本来のアトピーを治す治療ではありません。

脱ステだけでアトピーが治る人

さて、脱ステをしただけでアトピーが治ってしまう人は、本来アトピーではなかったのにステロイドの使用でステロイド依存性皮膚症を発症してしまっている人か、本来のアトピーがかなり軽症の人です。

このような人は脱ステのリバウンドを乗り越え、皮膚のバリア機能が正常化し、皮膚免疫も整いステロイド依存性皮膚症が治ってゆくことでアトピーも治ります。とはいえステロイドの影響が完全に消えるのには時間がかかりますし(ステロイドの影響は一生消えないと考えている学者もいるくらいです。)、生活習慣を正すなどの努力は必要かもしれません。薬や保湿を一切無しにしても症状の出ない状態を維持できる人もいるようです。

とはいえこのようなパターンの人は珍しいです。大人になってからストレスでアトピーを発症したとか、本当はアトピーでないのにかぶれなどにステロイドを使っていてステロイド依存性皮膚症を発症してしまった人などがほとんどかと思われます。

脱ステしてもアトピーが治らない人

成人アトピーの大多数が、脱ステをしてもアトピーが治らないです。その理由はステロイドの影響が抜けても本来のアトピーが残るからです。

成人アトピーの大多数の人は残念ながら脱ステのリバウンドを乗り越えてもアトピーは治りません。

アトピーが治らないんだったら、つらい脱ステなんてすべきではじゃないか!と思った方もいるかもしれませんが、それでも脱ステには意味があります。なぜならステロイド依存性皮膚症を取り除くことで、アトピーの症状が格段に良くなるからです。つまりステロイド依存性皮膚症がアトピーをかなり増悪させているというケースが多いのです。

ステロイド依存性皮膚症が取り除かれたあとは本来のアトピーの強さに応じて、適切な治療(スキンケア、食事、生活習慣改善)などを行うことで症状をうまくコントロールしていくのです。まさに現在の私がそのような感じで、脱ステを経てステロイドフリーの生活を営めています。

脱ステでアトピーが治るかどうか判断するには

今現在ステロイドを使っている人は、自分が脱ステだけでアトピーが治るアトピーなのかどうかが大変気になると思います。

結論からいうと、現在のところ脱ステだけで治るかどうか見分ける方法はないです。ただ参考にできることはあると思うので以下にまとめます。特に統計的なデータがあるわけではないので、あくまで参考にです。

IgEの高さ

IgEが高いか低いかは参考になります。IgEが高ければ高いほどアレルギー体質が強いと思われるので、脱ステだけで治る可能性は低いと思われます。

アトピー歴・アトピーの発症時期

アトピー歴が長ければ長いほど、発症時期が幼ければ幼いほど、本来のアトピーの影響が強いと思われるので、脱ステだけで治る可能性は低いと思われます。

家族の既往歴

家族にアトピーやアレルギーの人が多ければ多いほど、脱ステだけで治る可能性は低いと思われます。

誤った脱ステ情報に騙されないように

ネットの情報を見ていると、脱ステしてかなりの時間が経っているのに、重症アトピーのままの人が結構な人数います。ステロイド依存性皮膚症が治っていても、アトピーが重症のままなのです。

中にはリンパ液がだらだら出ているにもかかわらず、まだステロイドの排毒が続いているといった文言を述べて、なんの処置もしていないブログもありました。

脱ステしてかなり時間が経っていても皮膚からリンパ液が出ているような人は、ステロイドの影響以上に、皮膚における病原性細菌の繁殖がより重大な原因になっています。だからこのような場合適切な消毒をしてあげることで、本当はかなりアトピーが良くなるはずなのです。

せっかく脱ステしてステロイド依存性皮膚症が治っているのに、病原性細菌の対策をしないのは非常にもったいないです。

黄色ブドウ球菌対策でアトピーを改善

カビ対策でアトピーを改善

脱ステした人の中には極端に西洋薬や保湿などのスキンケアも忌避する人もいるのですが、脱ステしてしばらくしたら、適切なスキンケアを再開したほうがよいです。

まとめ

今回の記事では、脱ステでアトピーは治るのか治らないのかについてまとめました。結論としては、治る場合もあるけど治らない場合の方が多いということです。

脱ステは、アトピーではなく、ステロイド依存性皮膚症を治す治療法なのです。ただステロイド依存性皮膚症が治ることでかなり症状が軽くなるので、脱ステをする意味はあります。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

このブログを「いいな」と感じていただけましたら、下のランキングバナーをポチッと押していただけますと嬉しいです。

にほんブログ村 病気ブログ アトピー性皮膚炎へ

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする