私は3年前に脱ステして、半年ほどでリバウンドを乗り越えました。その後何度かのリバウンド級の悪化があったものの、現在はステロイドなしで寛解状態を維持できています。
私はステロイドは絶対に使ってはいけないだとか、ステロイドは悪だとまでは思っていません。実際ステロイドをうまく使うことでアトピーを上手にコントロールすることができる人もいます。しかし、アトピーを寛解させる上でステロイドは必要無いし、ステロイドの(間違った)使用が成人型アトピーをより複雑で治りにくいものにしているというのも事実だと思います。アトピーを寛解するためにはいずれステロイドを抜かなくてはならないのです。
本記事は脱ステ中、もしくはこれから脱ステしたいというひとに向けて書きました。記事の内容は、深谷元継医師のHPと「患者に学んだ成人型アトピー治療」という本および実体験に基づいて書いています。
特に自力で脱ステを行う人は、絶対に「患者に学んだ成人型アトピー治療」を読んでみてください。
目次
脱ステって
言葉の通り、ステロイドを使わないことです。外用も内服も一気にやめます。アトピーの多くの方はステロイドを長期に使用しているため、ステロイドに依存してしまっており、ステロイドなしでは肌が正常に機能しなくなっていることがあります。つまり成人型アトピーは
成人型アトピー = 本来のアトピー + ステロイド依存性皮膚症
という式で表すことができます。このステロイド依存性皮膚症を取り除き、本来のアトピーの状態に戻すというのが脱ステの目的です。ここを勘違いしている人が多いのですが、脱ステはアトピーを治すのでなく、ステロイド依存性皮膚症を治す治療なのです。
なので脱ステをしたらアトピーが完治したっていうひとは、本来のアトピーがかなり軽度で脱ステと同時に行った生活習慣の改善により本来のアトピーが治ってしまったとか、本当はアトピーではなかったが、医師にステロイドを処方されたがためにステロイド依存性皮膚症を発症していたという場合が多いです。
繰り返しになりますが、脱ステをするだけでアトピーが完治するわけではありません。脱ステの対策と同時に本来のアトピーを治す治療法も並行して行うべきです。
脱ステの三つのの方法
私は脱ステをする方法は大きく三つあると考えています。
- アトピーの原因療法・対症療法をしっかり行い、自然とステロイドが減っていき、気づけば脱ステ
- 脱ステ病院に入院して一気に脱ステ
- 自宅で一気に脱ステ
1.が一番理想的な方法です。しっかりと原因療法と対症療法を行なっていればアトピーが軽快していくので自然とステロイドの使用量が減っていきます。とはいえ、ステロイドを少し使うのと全く使わないのとでは大きな差があり、この方法で必ずしも全員が脱ステ成功するわけではありません。またすでに重度のステロイド依存性皮膚症を発症している方はステロイドを減らすこと自体が困難ということもあります。
2.はお金がある人向けの方法です。脱ステの入院は期間が予測できず、保険が適用にならないこともあるので、非常に高額になる可能性が有ります。脱ステに詳しい医師の元で脱ステを行うことはやはり安心であり、治りも早いはずなので、お金のあるひとはこの方法での脱ステが向いていると思います。
3.はお金がかけられない人向けの方法です。私はこのパターンでした。精神的にも肉体的にもめちゃくちゃきついです。自宅で脱ステする際に気をつけるべきことを本記事にまとめています。
脱ステのリバウンド
リバウンド
さて脱ステを行うと多くの場合でリバウンドという離脱症状が現れます。リバウンドはステロイドの使用期間、頻度、強さによって現れ方が違い、人によってはほとんどリバウンドが起きないということもあります。
しかし重度のアトピーの場合はほぼ確実にリバウンドが起きるので、脱ステをするひとはリバウンドをいかに乗り越えるかが重要となります。私の場合はステロイドをやめて3日ほどでリバウンドが起きました。
リバウンドの症状
リバウンドの症状は平均的には約1週間でピークを迎えます。その症状は、猛烈な痒み、浸出液の漏出、皮膚の亀裂、皮膚の落屑、高熱、寒気、むくみと多彩で、通常のアトピーとは比較にならないほど劇的です。痒みで何日も眠れなくなります。
リバウンドの初期は皮膚からの浸出液の漏出が止まらないため、服や枕に皮膚が張り付いてしまうほどです。徐々に浸出液が減ってきたリバウンドの中期には皮膚の落屑が止まらず、毎日山のように落屑が落ちます。
このようにリバウンド期間中は到底日常生活を送ることはできないし、そしてその期間がどれほど続くのかわからないのです。まさに生き地獄のような体験でした。
またリバウンド症状には波がありある程度よくなってきたと思ったら、また悪化するということを繰り返します。下の画像を参照。
http://www.twck.net/steroid03.htmより引用
このリバウンドをいかに乗り越えるかが鍵になります。
それでは脱ステの正しい方法について紹介したいと思います。
脱ステの正しい方法
脱ステの準備
脱ステを自宅で行う場合、家族の協力が必要です。特に脱ステの初期には動くのもしんどいという状態になるので、家事などはなるだけ家族にお願いしましょう。
また長期間自宅で療養することになるので、休職や休学の手続きをしておきましょう。
脱保湿
脱ステをするときに同時に脱保湿を行いましょう。脱保湿は軟膏や保湿剤の使用だけでなく、保湿作用のある石鹸の使用、長時間の入浴、布団の中に一日中いるなども保湿になるので禁止です。この脱保湿を行うことで脱ステの期間が短くなることが知られています。
食事
食事に関しては、皮膚を再生するためにバランスよく食べることが重要です。そして脱ステ初期の浸出液の漏出と落屑が多いときはタンパク質をやや多めに取りましょう。このときは動物性たんぱく質、植物性たんぱく質どちらも積極的に取りましょう。
そしてある程度皮膚の状態がおさまってからは、腸内環境を良くするためにたんぱく質は控えめにしましょう。
睡眠
脱ステを行うと自律神経がおかしくなるので、夜に寝れなくなります。しかしなるべく夜に寝るようにしましょう。昼寝は厳禁です。昼寝をするようになると、ますます夜寝られなくなるからです。
睡眠薬を出してもらうのも手です。
運動
脱ステにおいて運動は非常に重要です。脱ステ初期で皮膚が突っ張って歩くのもしんどいという時期もありますが、少しずつでもよいので自宅のなかで動くようにしましょう。
そして動けるようになったら散歩から始め、早歩き、ジョギングと徐々に強度を上げていきましょう。私は1日30分は歩くようにていました。
また予想以上に筋力がおちてしまうので、家の中での筋トレもよいでしょう。腹筋、背筋、腕立て、スクワットなどをしていました。
入浴
入浴は皮膚の痛みで入れないときは無理して入らなくてよいですが、数日に一度は入るようにしましょう。私は三日に一度程度の頻度で入浴していました。
洗い方は石鹸を泡立て、やさしく洗いましょう。脱ステ中の皮膚には黄色ブドウ球菌をはじめに雑菌が繁殖しているので、定期的に石鹸で数を減らす必要が有ります。
入浴時にかさぶたを剥ぐのはやめましょう。傷の治りが遅くなります。
皮膚感染症対策
脱ステ時は皮膚がきずだらけのため非常に感染症にかかりやすいです。感染症にかかったときは、抗生物質の服用とイソジンや超酸性水で消毒を行うようにしましょう。
皮膚が過度に過敏になっているので、普段から積極的に消毒をする必要はありませんが、たまに消毒をした方がジュクジュクの治りが早いとも言われているので、様子を見て超酸性水で消毒しましょう。
処方してもらうなら
腸内環境を良くするための整腸剤、皮膚の再生に必要なビタミン剤(ビオチン、ビタミンC、ビタミンB類など)を処方してもらいましょう。
脱ステ期間中の症状は劇的なので、痒み止めの薬も漢方もほとんど効果がないです。あくまで気休めですが、抗ヒスタミン剤の服用や、胃腸を強くするために補中益気湯という漢方の服用はありです。
その他生活習慣
・浸出液は皮膚を保護する役割があるので、あまり拭き取らないようにしましょう。止まらない場合はガーゼを当ててそのまま貼り付けておきましょう。皮膚の代わりになります。
・脱ステをしているときは猛烈な痒みのため、掻くのは仕方がないのですが、かさぶたを剥ぎ取るのは控えましょう。傷の治りが遅くなります。
・脱ステの痒みは猛烈ですが、目の周りを強くこするのだけは我慢しましょう。視力が落ちたり、白内障になるリスクがあります。
・脱ステは非常につらいものですが、時間をたくさん取れるチャンスでもあるので、なにか趣味に没頭するのもよいです。その際掻き癖により掻くのを防止するために、両手がふさがるような読書やゲームなどもおすすめです。
脱ステ治療の終了
リバウンドの終わり
脱ステ治療のやめどきを見極めるのは難しいですが、落屑が徐々に細かくなっていき、ほとんどでなくなったら、リバウンドはほぼ完了したと考え、脱ステの治療はやめてよいです。そして、原因療法と対症療法に移行しましょう。
二回目移行のリバウンド
さて脱ステのリバウンドを一度乗り越えしばらく時間が経っているにもかかわらず、再度リバウンドを起こすことがあります。多くの患者が二回目のリバウンド、三回目のリバウンドと言いますが厳密にはこれはリバウンドではなく、リバウンド級のアトピーの悪化です。つまり最初のリバウンドはステロイドの離脱症状であり、二回目移行のリバウンドは本来のアトピーの悪化です(ステロイドを長く使っていた人は本来のアトピーの悪化の振れ幅が大きくなってしまうという説があります)。よって二回目移行のリバウンドは悪化した要因があるはずなので、それに対する原因療法と対症療法が奏功します。
まとめ
今回は脱ステの方法についてまとめました。この記事でエッセンスはまとめましたが、脱ステを自力で行う場合は絶対にこの本を買うことをお勧めします。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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