よくアトピーは遺伝はするといいます。果たして本当にそうなのでしょうか?
いろいろ調べた結果から私はアトピーは遺伝しないし、仮に自分がアトピーでも子供に遺伝させないことができると考えています。今回はアトピーと遺伝の関係性についての考察をしたいと思います。
目次
アトピーは遺伝すると主張する意見
親がアトピーの場合の子供のアトピーの発症率に関する主張
ネットで「アトピー 遺伝」とかで検索すると、よく下のような記事が出てきます。
両親の片方にアトピー疾患があると、子供がアトピー疾患になる確率は2倍になり、両親ともアトピー疾患があれば、子供がアトピー疾患になる確率は、4倍になるとの報告があります。
また、アレルギーは子供全体の20%くらいといわれていますが、
両親の片方にアトピー疾患があるとそれが50%くらいになり、両親ともアトピー疾患があると、子供にアレルギーがある割合は66%にもなるという
報告もあります。これらはの報告は大学病院や医師の研究として一定人数のサンプルを抽出して
調査が行われた結果なので、必ずしもこの様な確率になるとは限りませんが参考にはなる数字です。http://niko25niko.xyz/idenより引用
親がアトピーだと、アトピーでない場合に比べて、子供がアトピーになる確率が高い。だからこそアトピーは遺伝するということを主張しています。こんな記事を読んでしまうとアトピーの人は自分の子供もアトピーになってしまうのかと不安になると思います。
さて、そもそもこのデータのソースもやや怪しいのですが笑、そこは置いときましょう。確かにこれだけアトピーを発症する確率に明確な差があるので、一見アトピーは遺伝すると考えられます。
フィラグリン遺伝子の異常に関する主張
最近フィラグリンに関する話も有名かと思います。以下の記事を御覧ください。
アトピー性皮膚炎の病態は現在、大きく分けて、バリア異常と免疫異常の2つの側面が関与していると考えられています。
近年、尋常性魚鱗癬の責任遺伝子がフィラグリンであることが発見されました。
以前から尋常性魚鱗癬の37-50%の人にアトピー性皮膚炎がみられ、またアトピー性皮膚炎の中で8%の人に尋常性魚鱗癬が合併することがわかっていました。
最近アトピー性皮膚炎のうち、18-56%でフィラグリン遺伝子の異常がみられることが報告されています。日本人ではアトピー性皮膚炎の27%でフィラグリン遺伝子の異常がみられるとの報告がされています。antivirus-life.com/atopy-filaggrinより引用
フィラグリン遺伝子に欠損があると、皮膚の角化や保湿成分が不足しアトピーになりやすいという主張です。
一般の人に比べ、確かにアトピーの人はフィラグリン遺伝子に異常があるひとが多いです。フィラグリン遺伝子が欠損しているとアトピーになりやすい、だからアトピーは遺伝すると考えられます。
一見アトピーは遺伝するという主張は正しそう
さてこれらの主張は一見正しく聞こえます。というのも、前述の引用の主張はなんらかのデータに基づいた主張であるからです。
しかし、ここで今一度考えて欲しいのは、そのデータはいつのデータでしょうか。せいぜいここ数10年ほどのデータではないでしょうか?つまり「アトピーは遺伝する」というのはここ最近のデータに基づいた主張にすぎないということです。
例えば、100年前には親にも子供にもアトピーはいなかったでしょう。だからどれだけサンプルを取っても絶対にアトピーの遺伝確率は0%です。
フィラグリン遺伝子が欠損している人を見つけてきてもその人がアトピーの確率は0%です。
何を当たり前のことを言ってるんだと思われるかもしれませんが、これは非常に重要な示唆です。つまり昔はアトピー素因を持とうが、フィラグリン遺伝子が欠損していようが、アトピーにはならなかったのです。
重要なのは環境
人間の遺伝子は100年やそこらでは変わりません。むしろ変わってしまったのは人間の内側のものではなく外側のもの、そう環境なのです。そして特に人間にとっての重大な環境変化は衛生面の変化であったのではないかと考えています。
過度に衛生な環境で子供が育てられるようになったが故に感染の機会が減り、免疫が脆弱なものになってしまうのです。また乳児湿疹にステロイドを用いたり、感染症に抗生物質を使うようになったことで、自身の免疫が鍛えられる機会はさらに減り、また身体の常在菌(特に腸内生菌)も変わってしまったのではないでしょうか。くわしくは、こちらの記事(アトピーの本当の本当の原因 衛生仮説と旧友仮説)をごらんください。
ここではアレルギーの発症頻度、がエンドトキシンという毒素への曝露量に依存するという内容の記事のみ紹介しておきます。
オーストリアで1990年代に国際小児喘息、アレルギー調査機関が行った
調査でザルツブルグの農村地帯でアレルギーが少ないことが分かった。追跡調査で農家の子は農家以外の子と比べて、花粉症の割合が3分の一
喘息の割合が4分の一と極めて少なかった。環境、運動、食事など検討されたが原因はわからなかった。
その後の調査で、農家以外の子でも家畜小屋に定期的に出入りしている子
はアレルギーが少ないことが分かった。つまり定期的に家畜と接触することがアレルギーを防ぐということが分かった。
それでは家畜小屋のどこにアレルギーを防ぐ物質が存在するのか?
ミュンヘン大学のエリカ・フォン・ムーチウス博士の研究グループがドイツ、オーストリア、スイスの3ヶ国で800人以上の子供のマットレスをしらべた。その結果アレルギーでない子供のマットレスからある共通する成分が見つかった。それは細菌が持つ成分でエンドトキシンと呼ばれるものでした。大腸菌などの細菌を覆う膜の成分で細菌が死んでばらばらになると放出される。私たちの身の回りにもわずかに存在している
エンドトキシンは眼には見えないが、家畜小屋の空気中には大量に含まれている。発生源は家畜の糞です。糞には大腸菌が多く含まれていてエンドトキシンが多量に含まれている。
家畜小屋に入った子供はエンドトキシンを吸い込み、衣服に付けて部屋まで運ぶのです。
アレルギーが世界でも極めて少ないモンゴルの遊牧民。子供たちは家畜とよく遊び、燃料として家畜の糞を集めます。モンゴルの人たちは、知らず知らずエンドトキシンに囲まれた暮らしを送っているのです。
http://k-fjmtent1989.sakura.ne.jp/arerugiendotox.htmより引用
都市化が進み、下水が完備され、道路が舗装されている現代社会では、エンドトキシンに触れ合うことがなく、仮に感染を起こしても、すぐに抗生物質を使ってしまうため、免疫が育たないのです。この結果アレルギーが増えているのです。
まとめ
近年の研究によって、アトピーが発症しやすい遺伝子の存在がどんどん明らかになってきています。しかし、そもそも昔はアトピーという病は存在さえしなかったのです。
それなのにアトピーが増えたのは、この短期間で人間の遺伝子が変わったからではなく、人間が過度に清潔な環境で暮らし、感染してもすぐに薬剤に頼るようにになり、人間の免疫が脆弱になったからです。
だからこそアトピーは遺伝するのかという質問に対する答えは、
アトピーが発症しやすい遺伝子は遺伝するけど、アトピーは遺伝しない
ということになります。
じゃあどうやったら、アトピーは遺伝させないことができるのか、についても近日中に書きたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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