今回の記事はずばりアトピーは完治するのかについてです。
よくネットのブログや記事などで、◯◯でアトピーが完治した、◯◯したらアトピーが治った、などの文句を見かけますが、果たして本当にアトピーが完治したのかは非常に疑わしいものです。
もちろん完治の定義にもよるのですが、仮にスキンケア・食事制限など一切せずに、皮膚に痒みや炎症がなく普通肌の状態が続くこと定義するのなら、ほとんどの人が完治はしていないのはではないでしょうか。
かくいう私もスキンケアで基本的に症状の出ない状態を維持していますが、油断するとすぐにアトピーが再発するので完治とは到底言えません。アトピーが完治してほしいとの願いをこめてサイト名をアトピー完治への軌跡としているのです。
それではアトピーは完治するのかについて書きたいと思います。
目次
完治の定義
完治とは完全に治った状態のことを指します。そこでアトピーの完治をこの記事では、スキンケア・食事制限など一切せずに、皮膚に痒みや炎症がなく普通肌の状態が続くこと定義したいと思います。
アトピーは完治するか
日本皮膚科学会の意見
まず日本皮膚科学会はアトピーについて、あくまで寛解が期待できるという書き方をしています。
アトピー性皮膚炎は,一般に慢性に経過するが,適切な治療によって症状がコントロールされた状態が長く維持されると,寛解も期待される疾患である。
アトピー性皮膚炎治療ガイドラインより
寛解とは、永続的であるか一時的であるかを問わず、病気による症状が好転または、ほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態のことです。そして次のようにも書いています。
アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり,現在,疾患そのものを完治させうる治療法はない。
アトピー性皮膚炎治療ガイドラインより
このように日本皮膚科学会はアトピーは完治するとは言っておらず、また完治させる治療法がないと明記しています。
アトピーが完治した人たち
それにもかかわらずネット上では、アトピー完治体験記、◯◯でアトピーが完治した、◯日でアトピー完治などの文言が跋扈しています。
ほとんどがアフィリエイト目的のサイトであるとも思われますが、本当にアトピーが完治した人も少数ですがいるのでしょう。このようにアトピーが完治した人は、成人後に初めてアトピーを発症した人か小児アトピーの人だと考えられます。
成人後で初めてアトピーを発症した人は完治が期待できる
成人でアトピーを発症した人は一時的なストレス、なにかの物質に対する接触皮膚炎、かぶれ、暴飲暴食などでアトピーを発症しているものと思われます。このようなひとはこれらの悪化因子を避けて適切なスキンケアを施すことで容易にアトピーが治ります。
二重スイッチ数理モデルでいえば、発症を起こすが元に戻りうる“可逆的なスイッチ1”だけが押されている状態です。“非可逆的なスイッチ2”が押される前に適切な治療でスイッチ1をオフにすることでアトピーが治るのです。詳しくは話題の二重スイッチ数理モデルについてを参照してください。
乳児アトピーや小児アトピーも完治が期待できる
子供のアトピーは完治が期待できます。というのも子供は肌や腸の免疫機能の発達が不十分であることがアトピーの原因になっていることがあるからです。
だからこそ、成長とともに免疫も成長することでアトピーの完治が期待できます。一昔前に子供のアトピーは完治すると言われていたのはこのためです。
ただし、最近では子供のアトピーに対してすぐにステロイド剤を使ったり、過度な清潔志向、風邪にも抗生物質を使うなどして、子供の免疫が育ちにくくなっています。その結果、小児アトピーが治りきらず、大人まで持ち越してしまう人が多くなっていると思われます。
詳しくはアトピーの本当の原因 衛生仮説と旧友仮説を見てみてください。
成人アトピーは完治しない
残念ながら、成人のアトピーは完治しないと思われます。ここでいう成人アトピーは子供のころからずっとアトピーで大人になった人、子供のときにアトピーだったが一度寛解して成人してから再発した人、大人になって初めてアトピーになったが長年アトピーの人です。
このような人たちは、二重スイッチ数理モデルでいうところの、発症を起こすが元に戻りうる“可逆的なスイッチ1”が長年押されていたので、“非可逆的なスイッチ2”も押されてしまっていると考えられます。スイッチ2が非可逆的なので、アトピーは完治しないのです。
なのでこのような人たちにできることは、適切なスキンケアなどの対策でスイッチ1をオフにして、スイッチ2のオンが弱まるのを待つことなのです(なお本当にスイッチ2のオンが弱まるかは現在のところ明らかにはなっていません)。
これはまさに日本皮膚科学会の書いていることに一致しています。以下再掲。
アトピー性皮膚炎は,一般に慢性に経過するが,適切な治療によって症状がコントロールされた状態が長く維持されると,寛解も期待される疾患である。
アトピー性皮膚炎治療ガイドラインより
アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり,現在,疾患そのものを完治させうる治療法はない。
アトピー性皮膚炎治療ガイドラインより
つまり長期間に渡ってスイッチ1をオフにすることで、寛解状態が維持できるのです。とはいえスイッチ2が一度オンになるとオフにする方法がないので完治させる治療法はないのです。
まとめ
- 子供のアトピーは完治しうる
- 大人になって初めてアトピーになった人も完治しうる
- 成人アトピーなどのアトピーの期間が長い人は完治しない
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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