ネットではアトピーが完治した、アトピーが治った、アトピーを克服したなど表現は違えど、アトピーを大幅に改善させた人たちがたくさんいます。
もちろん一部はアフィリエイトとか宣伝目的の人なんだろうけど、中には写真とかも上げていて、確かにぱっと見ではアトピーとわからないくらいまでアトピーを改善させている人がいるのも事実です。
そこで今回はネット上でアトピーが治ったと述べている人たちがなぜ治ったのか。その共通点について考察したいと思います。
アトピーが治った人たちは腸内環境が大切だという
ネット上でアトピーが治ったと自称する人は口を揃えて、
「腸内環境がアトピーの本当の原因だ!腸内環境を整えたから自分はアトピーが治った!」
「腸壁の傷がアトピーの原因だ!腸壁の傷が治ればアトピーは治る!」
と述べています。
言葉は違えど、アトピーが治った人のほとんどが腸内環境を治すことが最も重要だと考えているようです。
「アトピー完治」のキーワードで調べて上位に出てくるサイトである、
- 「アトピー完治への道」
- 「アトピーが100日で完治した方法!」
とかでも、アトピーを治す上で腸内環境が何よりも大事だと書いています。
アトピーを治すため「胃腸の健全化」に取り組みましょう!
こんな風に言われても、アトピー患者の大半はまずピンと来ません。
実感が沸かないのです。
これって、ある意味仕方が無いですね。
何故なら痒いのは皮膚だから。胃腸なんて痛くも痒くも無い。
それに皮膚は眼に見えても、胃腸は肉眼では見えないですから。
皮膚科では胃腸の話題は出ないし、アトピー性皮膚炎治療ガイドラインにも
『胃腸』なんて言葉は登場しません。
なので、いきなり「胃腸の健全化」なんて言われても「???」となる訳ですね。
では、何故アトピーを完治させるには「胃腸の健全化」が最優先項目なのでしょう?
それは、消化管が人体最大の「免疫臓器」だからです。
そう。免疫臓器なんです。消化管は。しかも人体で最大の。
アトピーを治す際、この当たり前の事実が軽視され過ぎている気がします。
「アトピー完治への道」より引用
アトピー最大の原因は、遺伝や体質でなく、弱って傷ついた腸粘膜です。腸が弱っていると、アレルギーの原因となるたんぱく質がきちんと分解されないまま、体内へ侵入します。アトピー完治の第一歩は、腸を元気にする方法を知ることなのです。
「アトピーが100日で完治した方法!」より引用
彼らがいうように、胃腸の健全化や腸を元気にすることがアトピーを治す上で何よりも重要なのでしょうか?
私はアトピーを治す上で、腸内環境よりも皮膚での病原性細菌の対策の方が重要であると考えています。そしてこのことがすでに多くの研究で明らかになってきています。
アトピーの原因解明か!? 話題の二重スイッチ数理モデルについて
特に二重スイッチ数理モデルでは、皮膚上での黄色ブドウ球菌の曝露によってアトピー発症のスイッチが押されてアトピーを発症するという仮説を提唱しており、実際のデータとよく一致することが確かめられています。
つまりアトピーの本当の原因は、皮膚での病原性細菌の異常繁殖なのです。少なくとも現時点で最も有力な説は、腸内環境じゃなくて、皮膚での病原性細菌の異常繁殖ということ。
それじゃあ腸内環境は重要じゃないの?
じゃあ腸内環境は重要じゃないのか言えば、そうではない。
多くの研究で、アトピーに乳酸菌を与えるとアトピーが軽快することが確かめられています。
神奈川県の横浜市大で池澤善郎先生らによって行われた試験では、中等症以上の難治例が多い成人のアトピー性皮膚炎に対しても、有効性を確認することができました。
試験では18歳から54歳のアトピー性皮膚炎患者49名のうち、24名に「L-92乳酸菌」を含んだタブレットを、25名にプラセボ(「L-92乳酸菌」を含まないタブレット)を、通常の投薬治療は継続したまま8週間摂取してもらい、その経過を比較しました。その結果、図2のように、「L-92乳酸菌」を摂取したグループでは皮膚炎スコア(SCORAD)が有意に低下したことが確認されました。また、図3ではアレルギー性の炎症に伴って増加する血液中の好酸球数がプラセボ群に比べて、有意に低下したことが示されました。さらに図4では「L-92乳酸菌」を摂取したグループは、Treg誘導因子の一つであるTGF-βが有意に増加したことがわかりました。
SCORADとは、Scoring atopic dermatitisの略語で、アトピー性皮膚炎の重症度(皮膚症状とかゆみ)を指数化したもの。英文の文献では、現在、最も広く採用されています。
http://calpis-kenko.jp/l92/allergy_guide08/?cid=adlab09より引用
この実験によれば、乳酸菌の摂取により、アトピーの自覚症状も見た目も血液検査の結果も改善したということが示されています。このように腸内環境の改善は確かにアトピーに効果があるのです。
おそらく二重スイッチ数理モデルで言うところのスイッチの押されやすさ(皮膚炎の発症のしやすさや悪化のしやすさ)に大きく影響を与えるのが、腸内環境なのではないかと私は考えていています。
まとめると、アトピー治すために腸内環境はめちゃくちゃ大切。でも腸内環境を整えるだけではアトピー治らないよ!ってのが私の意見。
じゃあなぜ腸内環境改善だけでアトピーが治っている人が多いのか
ここまで読んである疑問を持つはずです。アトピーが治ったと自称している人はなんで腸内環境の改善だけでアトピーが治っているのだろうか?
これについては、以下の仮説が考えられます。それは、
腸内環境を良くすることに腐心してた人は、実は気づかないうちに皮膚の病原性細菌の対策も行っていた!!
ということです。
つまり、アトピーの最も重大な原因である皮膚の病原性細菌の対策を知らず知らずのうちに行っていて、その上で次に重要な原因である腸内環境の改善も行なっていたからアトピーが治ってしまったということです。
その知らず知らずのうちに行っていた、対策というのが、発汗機能の強化ではないかと私は考えています。
そもそもアトピーを本気で治そうと取り組んでいる人が腸内環境の改善だけに取り組んでいるとは考えづらいです。
実際、アトピーが治った人たちのサイトを見ると、運動だったり、半身浴だったりをすごい頑張って行っています。中には岩盤浴に通っているような人もいました。
再び「アトピー完治への道」「アトピーが100日で完治した方法!」からの引用をご覧ください。
では、具体的な入浴法を紹介します。
まず温度。
春と秋は40度。夏場は38度。そして冬場は42度が基本。
これ以上温度を上げると、皮脂を取り過ぎて痒みを誘発する可能性があります。
お湯は少し熱めに沸かして、後は水で調整する程度で十分。(お金は掛けない)
次に時間。
これは、最低10分以上が目安です。
しっかりと肩まで浸かり、とにかくリラックスした状態で体全体をふやけさせます。
「アトピー完治への道」より引用
ですから、毎日しっかり運動して汗を流し、お風呂でもたっぷりと汗をかく、これを実践していたワケです。
入浴時、わたしは風呂場に熱い生姜紅茶400ccを持ちこんでいました。生姜の発汗作用を利用するのが目的です。半身浴※とセットで行なえば、かなり効果があります。アトピーの肌は汗腺がうまく働かないケースが多いのですが、生姜紅茶は体を芯から温めて、汗をたくさんかかせてくれました。
「アトピーが100日で完治した方法!」より引用
このようにアトピーが治った人たちは入浴なり運動なりで積極的に発汗していることがわかります。
さて、アトピーの人は抗菌ペプチドや免疫グロブリンという皮膚の病原菌を抑制する成分の量が健常人に比べて有意に少ないことがわかっています。これは皮膚に炎症などの異常があると抗菌ペプチドや免疫グロブリンを十分に生成できないからです。そして抗菌ペプチドや免疫グロブリンが少ないから、病原性細菌が増えてさらにアトピーが悪化するのです。
入浴や運動をすると汗をかきますが、定期的に発汗して皮膚の汗腺の機能が鍛えられると、皮膚がしっとりするようになるし、なにより抗菌ペプチドや免疫グロブリンの分泌が増えて、病原性細菌が繁殖しづらくなることがわかっています。
つまり発汗機能の強化によって、皮膚のバリア機能が回復するし、皮膚の病原性細菌の対策も行えるのです。
もちろん、汗を放置してはだめだし、皮膚状態が悪い時は発汗自体が刺激になってしまうんだけど、汗をかくというのは、アトピー治す上ですごい大きな役割を演じているわけです。
考察のまとめ
アトピーが治ったと自称する人の主張である、「アトピーを治すためには腸内環境が何よりも大事だ!」というのは正しくないと私は考えています。
彼らのアトピーが治ったのは「知らず知らずに行なった発汗機能の強化によって、最も重要な原因である皮膚の病原性細菌の対策がされた」、「その上で次に重要な原因である腸内環境の改善も行った」からなのです。
彼らの名誉のために言和てもらうと、腸内環境は確かに大切だし、それにそもそも病原性細菌がアトピーの原因とわかってきたのは最近のことなのだから、彼らのサイトがある程度古いことも考えると、腸内環境が最重要だと勘違いしてしまうのも仕方ないと思う。
だけどこのサイトを見てくれている読者には、アトピーの最も需要な原因が腸内環境だと勘違いしてもらいたくないと思います。まず対策すべきは皮膚、その次に腸です。
さて、腸内環境の改善と発汗機能の強化は一朝一夕に行えるものではないという欠点もあります。そこで今すぐにアトピー症状を改善したいという人は、まずは皮膚の病原性細菌の対策を行うといいんではないかと私は考えています。
その上で腸内環境の対策もしていくのが、最短かつ効率よくアトピーを治す方法だと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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