私は温泉をアトピー治療にうまく利用することに対して前向きな意見を持っているため、以前湯治でアトピーを改善しようの記事で温泉の効能とおすすめの温泉について書きました。しかし残念ながら温泉は必ずしも万人にマッチするものではありませんし、悪化してしまう人もいます。
特に標準治療からは不適切治療の一種という認定まで受けたことがあります。
そこで今回の記事では温泉に対する医学会のスタンスと私の考えについて改めてまとめたいと思います。
目次
温泉治療の反対派の意見
日本皮膚科学会は温泉を不適切治療と認定
残念ながら現在も温泉はあくまで民間療法の一つとされており、日本皮膚科学会からは不適切治療の烙印を押されたこともあります。下の引用を御覧下さい。
実際, アンケート調査における 140 例の 「不適切治療の具体的分類」 においても, 複数回答を含む 232 例のうち, トップは医療機関による特殊療法の 46 例(140 例の 33%)で, 同じく医療機関による脱ステロイド療法が 42 例(同 30%)でこれに続いている。 3 位は健康食品の 25 例(同 18%), 4 位は医療機関以外による脱ステロイド療法の 22 例(同 16%), 5 位は化粧品の 19 例(同 14%)で, 以下, 水治療 18 例(同 13%), 温泉・入浴関連 12 例(同9%), 医療機関以外による特殊療法 9 例(同6%), エステ 3 例(同2%), その他 36 例(同 26%)となっている。
https://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/dc8/index.php?trgid=4256より引用
もちろん日本皮膚科学会の言うことが全て正しいわけではないのですが、残念ながら温泉治療に関しては理解がないようです。またご覧の通り、脱ステロイド療法も不適切治療とされています。
脱ステで有名な佐藤健二医師も温泉治療に反対
一方で脱ステで有名な佐藤健二医師からも、温泉治療は低い評価を受けています。温泉は脱ステ後の皮疹の安定を阻害し、また感染症を起こすリスクがあると考えているようです。
脱ステロイドあるいは脱保湿の初期で皮疹の安定化していないときに、温泉療法として長時間の入浴や頻回の入浴は、皮疹安定化が起こらないかあるいは安定化までに時間がかかり勧められません。まして、同じ温泉の水を滅菌もせずに何度も使用することは、細菌感染予防のために避けなければならない。
温泉治療を推奨する病院の減少
このような流れを受け、アトピーに温泉治療を推奨する医師や、温泉治療を治療の一環として取り入れる病院はどんどん減っているという現状があります。病院側は、患者に温泉治療を勧めてアトピーが悪化してしまうというリスクを取るよりも、標準治療に従ってステロイド治療を勧めたほうが安全だし、楽に稼げると考えているのでしょう。日本皮膚科学会から非難を浴びることもありません。病院もあくまでビジネスなのです。
温泉治療の賛成派の意見
一方で温泉治療を推奨する脱ステ医師もいます。特に脱ステで有名な藤澤皮膚科院長の藤澤医師は豊富温泉を勧めています。
「入浴回数を制限すべき」と書きましたが、この豊富温泉はまったくの別物です。なにしろここは”温泉療法”というより”タール浴療法”と呼ぶほうがふさわしい世界にも類を見ない特別な温泉だからです。
豊富温泉は特にアトピーに効果が高いため、多くの皮膚科医が推奨しています。詳しくは一度豊富温泉のHPを見てみてください。
私の温泉治療に対する考え
温泉はアトピーを良くも悪くもする
このように皮膚科医の間でもアトピーに対する温泉の効果に関してはコンセンサスが得られていないのが現状です。
このような現状になっているのは、ある人に効く温泉がある人には効かないことがあり、万人に効果を示すわけではないからだと私は考えています。アトピーを良くするか悪くするかは実際に温泉に入ってみるまで分からないのです。
さて温泉でアトピーが改善するか悪化するかは様々な要因があるため、一概にまとめることはできませんが、アトピーを改善する主な要因は皮膚の病原性細菌の殺菌効果で、アトピーを悪化させる主な要因は温泉成分による皮膚への刺激であると考えられます。
だからこそ、温泉は黄色ブドウ球菌が大量に繁殖している人には著効を示すことが多いです。黄色ブドウ球菌が殺菌されることで、アトピーが大幅に良くなるからです。
一方で皮膚が過敏な人ほど、温泉の成分の刺激により皮膚バリアが壊されたり、皮膚の炎症が強くなったりしアトピーが悪化する傾向にあります。
温泉を治療に取り入れるうえでのポイント
皮膚科医の間でも意見が割れる温泉治療ですが、私は重症患者は温泉治療を一度は試してみるべきだと思います。温泉により劇的に改善する人もいるからです。
その際注意して欲しいのは以下のことです。
- 可能であれば北海道の豊富温泉を選ぶ
- 口コミをみてアトピーに評判のいい温泉を選ぶ
- 特に酸性泉、海水泉、モール泉の温泉を選ぶ
- 源泉掛け流しの温泉を選ぶ(細菌感染を避けるため)
- 細菌感染を起こしたらすぐに病院にいく
- 温泉でアトピーは完治しないことを理解する
- 温泉での治療には時間がかかる、最低一週間はみるようにする
- 温泉治療はあくまで急場をしのぐためのもの
- 温泉でアトピーが良くなったあと、普段の暮らしに戻っても良い状態を維持するのが大切
豊富温泉についてはいくつか書籍を出ているので興味ある方は読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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