アトピーに効果の強い外用薬としてステロイドの他にプロトピック(タクロリムス軟膏)というものがあります。
プロトピックは副作用もありますが、上手に使うことでアトピーの症状を緩和することができます。
今回はプロトピックについて説明したいと思います。
そもそもプロトピックてなに?
プロトピックはステロイドの代わりになると期待され新たに開発された薬で、いわゆる免疫抑制剤です。あくまでアトピーを治すのではなく症状をとる対症療法薬です。1999年に発売が開始されたので、まだその副作用については未知な部分があると考えられています。以下はプロトピックの作用の説明です。
概説
皮膚の赤みや腫れをおさえる塗り薬です。アトピー性皮膚炎の治療に用います。
[働き]
皮膚の免疫系の働きを低下させます。そうすることで、皮膚の炎症がしずまり、アトピー性皮膚炎の皮膚症状が改善します。症状をとる対症療法薬ですので病気の原因そのものは治せませんが、皮膚をよい状態に導き、かきむしりによる悪化の悪循環を断つという意味でも有用です。
実際の効果もよく、ステロイド外用薬の3群(強力)に匹敵します。リンデロンやフルコートと同じくらいです。とくに顔や首など皮膚のうすい部位での効き目がよく、顔の赤みや首の湿疹に最適です。また、皮膚萎縮などステロイド外用による副作用が心配されるとき、あるいは再燃時における寛解・維持療法にも向きます。[薬理]
活性化したTリンパ球の機能を強力におさえることで、亢進した免疫作用を抑制します。そして、皮膚の炎症がひき、皮膚症状が改善します。ステロイドと異なり、皮膚の防御機能に悪影響をおよぼすこともほとんどありません。
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se26/se2699709.htmlより引用
結構さらっと怖いこととすごいことが書いてあります笑
まず怖いこととして、免疫を抑制してしまうことです。もともとプロトピックは臓器移植後の拒絶反応予防薬から生まれたものなので、その免疫抑制作用は非常に強いです。
そしてすごいことは、皮膚の赤みをとることと、皮膚の防御機能に悪影響を与えないことです。アトピーの赤ら顔に困っている人や、皮膚萎縮というステロイドの副作用が怖い人にはこれは嬉しい効果です。
プロトピックの使い方
さてこのプロトピックはステロイドより炎症を抑える作用が強いです。しかしプロトピックはステロイドよりも分子量が大きく肌から吸収されづらいので、吸収率の高い顔や首の皮膚の炎症やかゆみに対して効果が高いです。
一方、皮膚からの吸収率が低い胴体や四肢はステロイドの方が向いています。
それでは具体的な使い方について解説します。
使い方
- 1日に2回まで適量を患部に塗布する。この際1回あたりの塗布量は5gまでとする。
- 密封法(薬を塗布後ラップなで密封すること)は行わない。
- また1日2回塗布する場合はおよそ12時間間隔で塗布する。
- 傷やビラン、血が出ているような部分には使用しない。
- 塗布部位を日光に当てない。
このような制限があるのは、プロトピックは発がん物資を含んでおり、一定量以上を身体に取り込むと発がんのリスクが上がるからです。
またある程度皮膚の状態が良くないと塗布した際の灼熱感が強いので、傷やびらんへの使用は向いていません。
副作用
プロトピックの副作用として、
- 塗布した時の、灼熱感やほてり感、ヒリヒリ感、かゆみなどが生じる。
- 皮膚感染症を起こしやすくする。
- 安全性への懸念がある。
があげられる。
まず、塗布した時の、灼熱感やほてり感、ヒリヒリ感、かゆみについては、これが苦手でプロトピックを使うことができない人もいますが、通常3日ほどで落ち着きます。ステロイドで炎症を抑えてから使うと灼熱感が減るという人もいます。
さてここで注目して欲しいのは、皮膚感染症と安全性についてです。
プロトピックは皮膚免疫を抑え、皮膚の抵抗力を落とします。つまり細菌やウイルスに感染しやすい状態になるということです。実際毛のう炎の発現率が約12%、カポジ水痘様発疹症の発現率が約4%という報告もあります。
皮膚に病原性細菌が繁殖していることがアトピーの原因であるので、プロトピックの使用は炎症を抑えるが、炎症の原因を増やしてしまうという、まさにアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態なのです。
また安全性への懸念に関して、プロトピックの長期使用における安全性は現在もまだ完全には確かめられていません。以下の文章をごらんください。
長期使用における有用性や安全性は、必ずしも十分に確かめられているわけではありません。とくに、リンパ腫や皮膚がんの発現リスクを完全に否定することができません。今のところ、それらの発生増加は認められず、特段のリスクはないものと考えられていますが、10年以上の長期使用時、あるいはその後の将来にわたる安全性や予後改善については今後の課題です。塗布部位をできるだけ日光にあてないなど、医師の指示どおりに慎重に使用する必要があります。
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se26/se2699709.htmlより引用
このようにプロトピックの使用は現在もまた安全性が確かめられていない状況です。
プロトピックの危険性については、プロトピックなんて使うなも参照してください。
まとめ
プロトピックは、
- ステロイドのステロイド外用薬の3群(強力)に匹敵する効果がある
- ステロイドのような毛細血管拡張や皮膚萎縮などの副作用がない
- 赤ら顔に良く効き、顔や首への使用が適する
- 1日に2回まで、1回あたりの塗布量は5gまで
- 皮膚免疫を低下させ感染症のリスクをあげる
- 長期使用の安全性は確かめられていない
という特徴を持っています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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