アトピーは長い間、原因不明の慢性疾患と言われてきました。
しかし最近の研究でアトピーの発症・増悪に関わる要因は少しずつ明らかになってきています。特に成人アトピーでは皮膚免疫と腸内免疫で異常が起きていることがわかってきています。
今回の記事では、アトピーの本当の原因ついて書きたいと思います。
目次
アトピーの本当の原因
アトピーの本当の原因は、皮膚免疫の異常と腸内免疫の異常です。ここ重要なのでもう一度言いますね。アトピーの本当の原因は、皮膚免疫の異常と腸内免疫の異常です。
アトピーを患ってきた人の多くは、医者やアトピーサイトなどで一度は免疫の異常だとか、免疫の異常亢進という言葉を聞いたことがあると思いますが、その免疫異常が皮膚と腸内の両方で起こっているのがアトピーなのです。だからこそ皮膚と腸内の両方にアプローチすることが重要です。
「アトピーを治すためには乳酸菌を摂って腸内環境をよくしよう」とか「ステロイドを使って一気に皮膚の炎症を抑えてしまおう」とか「皮膚を清潔にしてしっかり保湿しよう」といった治療法は皮膚か腸のどちらかにしかアプローチできていないのです。だから半分正解だけど、残り半分の部分にアプローチできてないから、それだけでは片手落ちなのです。
それでは皮膚免疫の異常と腸内免疫の異常が一体どういうことなのかについて詳しく説明します。
皮膚免疫の異常
アトピーの人の皮膚は、①バリア機能の破綻、②病原性細菌の繁殖、という二点において異常です。
①バリア機能の破綻
アトピーのひとはバリア機能が破綻しているため、上の画像のようにアレルゲンを透過させてしまいます。
本来の健康な皮膚は皮脂、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質によってバリア機能が保たれていて、アレルゲンや細菌などの異物の侵入を防いでいる。一方でアトピーの人は乾燥肌の傾向があり、これらの天然の保湿成分が有意に少ないことがわかっています。そして皮膚には炎症があり搔き壊しなどの傷だらけです。
つまり皮膚のバリア機能が破綻しています。その結果バンバンとアレルゲンが皮膚から身体に侵入してしまい、これがアトピーの原因になっているわけです。
②病原性細菌が繁殖
病原性細菌の繁殖がアトピーの最も重大な原因であると私は考えています。アトピーの人は皮膚免疫が異常なため通常の肌ではあまり検出されない病原性細菌が異常繁殖してて、それがアレルゲンになっているのです。以下の引用記事を御覧ください。
米国立衛生研究所(NIH)の永尾圭介主任研究員は慶応義塾大と共同で、アトピー性皮膚炎の症状は皮膚で一部の細菌が増えて、細菌の種類が偏ると起きることをマウスの実験で突き止めた。研究グループは発症のメカニズム解明や治療法の開発に役立つとしている。
成果は米科学誌イミュニティー(電子版)に22日、掲載される。
研究グループは遺伝子操作によってアトピー性皮膚炎を発症するマウスをつくり、実験に使った。
炎症を起こした皮膚には、「黄色ブドウ球菌」と「C・bovis」という2種類の細菌だけが目立った。健康な皮膚には、様々な種類の細菌がいる。特定の菌に偏ることによって、アトピー性皮膚炎を発症している可能性があるという。
2種類の細菌に効く抗生物質を投与すると、皮膚に炎症が起きないことも分かった。
アトピー性皮膚炎の患者の皮膚には、黄色ブドウ球菌が多く見つかることが以前から知られていた。ただ、動物実験などを通じた検証が十分に進んでいなかった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H9P_R20C15A4CR8000/
カビから分泌されるたんぱく質が、アトピー性皮膚炎患者の「かゆみ」を引き起こす原因になっていることが、広島大学の秀道広教授らの研究で明らかになった。2013年6月6日発表された。
アトピー性皮膚炎の患者のおよそ8割が、汗をかくとアレルギーを引き起こし、症状を悪化させることはこれまでも知られていた。研究ではその原因となる物質が、皮膚に常在しているカビの一種「マラセチア菌」が作り出すたんぱく質「MGL-1304」であり、これが汗に溶け込み、皮膚にしみこむことでかゆみが起こることが特定された。
物質の特定により、新たな治療法開発が進むことが期待されている。
http://www.j-cast.com/2013/06/07176823.html
この記事からわかるように、黄色ブドウ球菌やマラセチアが皮膚上で異常繁殖し、これらの皮膚の常在菌に対してアレルギーを起こしていることがアトピーの最大の原因なのです。常在菌にアレルギーを起こしているので一年中24時間痒みがなくならないのです。さらに常にアレルゲンに触れ続けることになるので免疫が大きく撹乱されてしまうというわけです。
また最近の研究で黄色ブドウ球菌への曝露がアトピーの発症要因になっているという説が唱えられています。
このように病原性細菌はアトピーの発症にも増悪にも大きく影響を与えています。
腸内免疫の異常
アトピーの人は胃腸が弱い傾向にあります。胃腸が弱いから、食べ物をちゃんと消化できず、消化できなかったタンパク質がアトピーの原因になっているのです。この消化できなかったタンパク質は①腸内環境の悪化②異種タンパク質のアレルゲン化、という二つの理由からアトピーを悪化させると考えられます。
①腸内環境の悪化
腸内環境って最近ようやくテレビなんかでも取り上げられるようになったけど、超重要です。腸内環境の良し悪しが健康に大きく影響します。
人間の腸内には、100種類以上の細菌が棲んでいます。大きく分けると善玉菌、悪玉菌、そしてどちらか優勢な方につく日和見菌の3種類が互いに勢力争いをしながら、共存しています。善玉菌は、「体に必要なビタミンをつくる」「便の排出を促す」などの有益な働きがあるんだけど、その一方で、悪玉菌は、「消化できなかったタンパク質を分解してアンモニアやインドール、硫化水素などの有毒物質を生成」してしまう。それでこれらの有害物質が腸内から取り込まれ血液に溶け込み身体を巡ることによってアトピーをはじめとするアレルギー症状を加速させているのです。腸内環境の悪化がアレルギー増加の原因だという説さえあるくらいです。
また、悪玉菌の中にはカンジダというカビの一種が存在しており、アトピー患者の中にはこのカビに感作している人がかなりの割合でいます。腸内環境が悪く自分の腸内でカンジダが異常繁殖した結果、カンジダアレルギーを起こしアトピーが悪化してしまうって人もいます。
②異種タンパク質のアレルゲン化
さてもうひとつの原因は摂取した食べ物自体がアレルゲンになってしまうというものです。悪玉菌が多い状況が続くと腸内は荒れて腸壁に傷がつきます。元気な腸は「消化されなかったタンパク質を吸収しない」のですが、傷ついている腸は「消化されなかったタンパク質を誤って吸収してしまう」のです。「消化されなかったタンパク質の吸収」が繰り返されることで、その食べ物自体ににアレルギー反応を起こすようになってしまうのです。ちなみに子供に食べ物アレルギーが多いのは子供はもともと腸内免疫が未熟だから。だから成長とともに腸内免疫が発達して食物アレルギーが無くなるはずなんだけど、大人になって腸内が荒れていると食物アレルギーを起こすというわけです。
まとめると、
アトピーの人は胃腸が弱く、タンパク質を消化できない。
→この消化できなかったダンパク質が腸内環境を悪化せる。
→その結果、腸内でアレルギーを促進する有害物質が発生し、またカンジダのような常在菌に対してアレルギー起こす。
→また消化できなかったタンパク質に対してもアレルギーを起こす。
といったプロセスにより、アトピーを増悪・発症させると考えられます。
皮膚免疫と腸内免疫を整えればアトピーを治る
さてここまで、アトピーの本当の原因が皮膚免疫の異常と腸内免疫の異常であるということについて説明しました。そして、皮膚免疫と腸内免疫を整えればアトピーを治るというのが私の持論です。たまに優先順位について聞かれますが、まず重要なのは皮膚免疫、次に腸内免疫です。アトピーのブログの中には腸がアトピーの真の原因とか書いているものがたくさんあるけど間違っています。まずは皮膚でその次に腸です。これを間違えるとどんな対策をしても効果が薄い。
さてこの二つの原因に対してアプローチする原因療法については、
にまとめました。こちらもご参照ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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