アトピーの本当の原因 衛生仮説と旧友仮説

アトピーをはじめとしたアレルギー疾患は増え続けています。アトピーの推計総患者数は45万人以上ともいわれています。

出典:アレルギー疾患の現状等 – 厚生労働省

このようにアトピーやアレルギーのひとが増え続けているのは、乳幼児が衛生的な環境で育つようになったためと言われています。いわゆる衛生仮説です。

今回の記事ではこの衛生仮説について紹介したいと思います。

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アトピーの原因はなに?

以前の記事で、アトピーの本当の原因は皮膚免疫と腸内免疫にあると書きましたが、ではなぜアトピーのひとは皮膚免疫と腸内免疫に異常があるのでしょうか。それを説明するのが衛生仮説と旧友仮説という二つの仮説です。

この二つの仮説を知識として紹介しておきますが、成人アトピーの直接の治療法には関係ないので悪しからず。逆に言うと小さなお子さんの親御さんやこれから子供を育てる予定の方には直接的に役に立つ知識かとも思います。自分の子供をアトピーにしないためにも是非二つの仮説について知っておいてください。

衛生仮説

衛生仮説とは乳幼児期までの病原菌への感染や非衛生的環境が、その後のアレルギー疾患の発症を低下させるという仮説です。

私たちの体には免疫機能を担うリンパ球があります。このリンパ球はTh1細胞というは細菌やウイルスに対する免疫・防御機構を担うものと、Th2細胞という寄生虫に対する防御やアレルギーに関与するものがあり、この両者が常にバランスすることで私たちの免疫が健全に働き、健康が守られているのです。

私たちは生まれてくるときにはTh2細胞が優位な状態で生まれてきます。これは母体と胎児との間で拒絶反応が起きないようにTh1細胞が抑えられているためです。そして出生後にさまざまな細菌やウイルスに暴露し感染することで、徐々にTh1細胞が活性化されていき、Th1細胞とTh2細胞の免疫がバランスしていくのです。

要は一人前の大人になるためには、いろいろな細菌に感染して免疫が鍛えられる必要があるということです。

しかし、現在の日本のような衛生な環境下では乳幼児期に感染を経験する機会が少なく、Th1細胞が育たずに、Th2細胞優位な状態が続いてしまうのです。このようにTh1細胞の形成不全がアレルギー疾患やアトピーの大きな原因になっているとするのが衛生仮説です。

しかも最近ではせっかく細菌に感染してもすぐに抗生物質を使うから、免疫が育つ機会が奪われているのです。感染機会が減ったうえに感染しても薬で治してしまうわけだから、免疫が育たないのもうなずけます。

http://www.sorawebshop.jp/data/sora-skincare/image/blog/kafun-fig2.pngより引用

この衛生仮説は1989年にイギリスのStrachan博士の論文ではじめて提唱されました。この論文では自分より年長の同居者が多いほどアレルギーを患う可能性が低いという事実から、生育時の感染暴露頻度の違いがアレルギーの発症頻度に影響するという仮説を考え出したのです。当時は医学界がTh1細胞、Th2細胞に対する理解が不十分であり、広くは受け入れられませんでした。しかしその後、

「西ドイツ出身者は東ドイツ出身者に比べてアレルギーになりやすい(西ドイツの方がより衛生な環境であった)」

「家畜を飼育している農家の子供はアレルギーになりにくい(エンドキシンという毒素への暴露が多いため)」

などの事実がどんどんあきらかになり、現在では説得力のある学説となっています。

旧友仮説

旧友仮説とは、人類の長い歴史において長期にわたって人類と共存してきた腸内細菌や皮膚常在菌、微生物などの「旧友」が、抗生物質などの薬により駆逐された結果、アレルギー疾患にかかりやすくなるという仮説です。

旧友仮説では、特に乳幼児期の抗生物質の投与や、帝王切開による産道由来細菌への暴露機会の消失を問題だと考えています。これらの原因で「旧友」である細菌が常在菌として定着しないと、正しい免疫形成がされずに、本来は攻撃すべきでないものに対して過剰なアレルギー反応が生じてしまうと考えています。

人間の免疫が正しく機能するには、さまざまな「旧友」と触れ合い仲良くする必要があるのです。

勝負は乳幼児期に決まってしまう

以上の仮説が、アトピーやアレルギーが増加しいている理由を説明する有力な仮説です。

この仮説が正しいとするなら、正しい免疫形成については乳幼児期に勝負は決まってしまうので、成人型のアトピーやアレルギーの患者が今からできる免疫形成の対策は残念ながらないことになります。

(もちろん多くの医師や研究者たちが大人になっても正しい免疫を育てる方法がないのか研究を進めているので、いずれ何か有効な方法が見つかるかもしれませんが、現在のところ有効な方法がないのです。)

免疫形成に対してはもう対策を打てないからこそ、成人型アトピーの方はアトピーの本当の原因である皮膚免疫と腸内免疫に対して、アプローチする必要があるのです。

黄色ブドウ球菌対策でアトピーを改善

カビ対策でアトピーを改善

腸内免疫を正せばアトピーは治る

なお、お子さんがアトピーというお父さんお母さんはお子さんを清潔すぎる環境下で育てない、特に抗生物質の乱用はしない方がよいでしょう。

意外かもしれませんが、指しゃぶりという不潔な行為でアレルギーが減ることも知られているくらいなのです。

指しゃぶりはアトピーを予防する⁉︎


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