アトピーの人は汗を積極的にかいて体質を変えたほうがいいという意見と、汗は痒くなるからかかないほうがいいという意見と、どちらも聞いたことがあると思います。皮膚科の医師によっても意見が違ったりします。
これでは結局どっちが正しいのかわからないですよね。
本記事ではアトピーと汗についてまとめます。
目次
汗の役割
汗には重要な役割があります。それは
- 皮膚の温度調節
- 水分の保持
- 抗菌成分の供給
です。どれも非常に重要な役割なのですが、アトピーの人にとって特に重要なのは、水分の保持と抗菌成分の供給です。汗の中に含まれる、尿素や乳酸など保湿作用のある成分により、肌は適度の水分を保持することができます。また汗に含まれる、感染防御に関わる免疫グロブリンや抗菌ペプチドなどにより、皮膚表面の細菌を抑制しているのです。
汗は、アトピーの大きな原因である、乾燥肌(皮膚バリア機能の破綻)と皮膚表面での病原性細菌の繁殖のどちらも改善する、すごいやつなのです。
アトピーの人は汗をかきづらい
アトピーの人は汗をかきづらいと言われています。一般の人の半分程度の汗しかかけないとも言われています。その理由として、皮膚のバリア機能が壊れていて、汗腺が機能していないという説と自立神経の異常説が有力です。
そもそも、アトピーの方は、他の人と比べても汗をかきにくい方が多いと言われています。これは、皮膚のバリア機能が破壊されているため、汗管から汗がうまく排出できないこと。さらに発汗をコントロールする自律神経の異常によるものだということが注目されています。
また、症状の悪化を恐れ、汗をかかないよう入浴や運動を控える習慣を送る方が多いようです。汗をかかないようにすると、余計に汗をかかない体になってしまいます。
http://www.skincare-univ.com/article/000723/より引用
さらにアトピーのひとは汗に含まれる抗菌ペプチドは少ないことがわかっています。つまり、アトピー肌に良い効果をもたらすはずの汗の質も量も不十分のなのです。
積極的に汗をかく練習をすれば、汗の質と量が向上して、乾燥肌(皮膚バリア機能の破綻)と皮膚表面での病原性細菌の繁殖のどちらも改善されるはずである、それゆえに汗をかくべきだという主張がされるのです。
このように、アトピーの人は積極的に汗をかいたほうが、乾燥肌(皮膚バリア機能の破綻)と皮膚表面での病原性細菌の繁殖のどちらも改善されるのでアトピーに良い気がしますが、汗には大きな落とし穴があります。
汗をかかないほうがいい派の意見
一方で多くの皮膚科の医師たちが汗をかかないほうがいいと言います。実際私がかかっていた皮膚科でも汗はかかないように言われました。
その根拠は、汗により痒みが誘発され、炎症が強くなることにあります。
汗で痒くなるのは、
- 汗の成分により炎症がひどくなる
- 汗により黄色ブドウ球菌が増殖する
- 汗に含まれるカビ・真菌によるアレルギー反応
が原因です。
特に汗を放置して痒みが強くなる場合は黄色ブドウ球菌の繁殖が疑われます。これは汗により皮膚のpHがアルカリ性に傾き、表皮ブドウ球菌が抑えられ逆に黄色ブログ球菌が増えてしまうからです。
また、もともとアトピー患者にはマラセチアが多く検出されることが分かっていましたが、最近の研究で汗に含まれるマラセチアがアレルギーを起こすことがわかりました。
MGL_1304は、M. globosaから分泌され、ヒト肥満細胞株から脱顆粒を起こすとともに、アトピー性皮膚炎患者末梢血好塩基球からはアレルギー反応に重要なサイトカインの一つであるIL-4の産生を引き起こすこともわかりました。
広島大学ニュースリリース「アトピー性皮膚炎患者における汗アレルギーの原因物質を同定」(2013年6月6日)より引用
このように汗により、痒みや炎症が起きるのも事実です。
結局汗はかいた方がいいの?かかないほうがいいの?
症状が悪いうちは汗は避けるべき
じゅくじゅくの湿疹がある、全身傷だらけで動くのもしんどい、毎日大量の落屑がでているなどの重傷の時期はなるだけ汗をかかないようにしましょう。
体に炎症があると、少しの汗に対しても過敏に反応して、痒みや炎症が強くなってしまう可能性が高いです。
まずは身体の炎症を抑えることが優先です。このサイトに書いてある原因療法を実践したり、ステロイドを適切に使うなどして、まずは身体の炎症を除くことが必要です。
汗はなるべく早く洗い流す
汗をかくこと自体は非常に身体によく、皮膚にとっても必要なことです。皮膚炎の症状が落ち着き、軽症の場合には、すこしずつでもよいので汗をかく練習をするとよいでしょう。
ただし汗は炎症や痒みの原因になるのでそのまま放置するのだけはやめましょう。できればすぐにシャワーで洗い流すようにし、不可能な場合は濡れたタオルなどでふき取るようにしましょう。ふき取るだけでもだいぶ痒みが違ってくるはずです。また汗をかいた服は着替えてしまうのも一つの手です。
皮膚症状がよくなれば積極的に汗をかく
私はある程度アトピーの状態が良くなってからも、なかなか乾燥肌は改善されずアトピーの症状も停滞していた時期がありました(TARCが1000を切ったところで停滞していました)。この状態からぐっと症状がよくなったのは、汗を積極的にかくようにしてからです。
効果は劇的でした。汗をかいた次の日には肌の乾燥が弱くなりすべすべしているのです。汗をかくたびに肌の質が向上していきました。
このように汗をかくことで
皮膚の状態が良くなる→皮膚の状態が良くなりよい汗をかけるようになる→よい汗をかくことでさらに皮膚の状態が良くなる
というよいスパイラルが生まれました。ぜひ皮膚症状が良くなれば汗をかくようにしてみてください。なお汗のかき方は、スポーツ、入浴、サウナなどどれも効果あるようです。詳しくはアトピーのひとはどうやって汗をかくのがよいかの記事を参照してみてください。
まとめ
- 汗は肌に必要なものだが、アトピー肌では炎症を悪化させる
- よって皮膚の状態が悪い重症の時期は汗はさける
- 皮膚炎が良くなってきたらすこしずつ汗をかく
- 汗をかいたらすぐに洗い流すかふき取る
- 軽症のときに汗はかくことで、皮膚の状態がよくなる
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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