アトピーの肌にはさまざまな病原性細菌が繁殖しています。そしてその細菌自体にアレルギー反応をおこしているのがアトピーの大きな特徴です。病原細菌のうち特に重大なアレルゲンになっているのが黄色ブドウ球菌です。
じゅくじゅくしているような湿疹のほとんどに黄色ブドウ球菌が関係しています。
アトピーの汁が黄色なのはこの黄色ブドウ球菌が繁殖しているからです。
今回はこの黄色ブドウ球菌とその対策方法についてまとめます。前置きはいいからとにかく対策を知りたいってひとはここをクリック。
目次
そもそも黄色ブドウ球菌ってなに?
黄色ブドウ球菌は人の体に存在する常在菌です。以下ウィキペディアより。
黄色ブドウ球菌は人体の皮膚表面、毛孔に存在する。特に鼻腔内に存在する常在菌であり、約30% – 100%のヒトが保有していると言われる(諸説あり)。ヒトの皮膚に常在するブドウ球菌の中では毒性が高く、他のブドウ球菌では健常者に対して病気を起こさない(ただし日和見感染を起こすことはある)のに対し、黄色ブドウ球菌は健常者に対しても病気を起こしうる。ただし黄色ブドウ球菌も、健常者では通常の生育場所である皮膚表面や鼻腔などでの増殖自体が発病につながることは少なく、創傷部などから体内に侵入した場合に発病することが多い。感染力は強い部類に属するが、菌が少なければ通常その毒性は弱い。
ウィキペディより引用
要するに黄色ブドウ球菌は誰の身体にでも存在する常在菌です。単体では大して悪さをしないのですが、増えることで毒性が増し、人体にも有害になるわけです。例えば、食中毒やとびひなんかもこの黄色ブドウ球菌のしわざです。
アトピーの肌は黄色ブドウ球菌だらけ
アトピーの肌にはこの黄色ブドウ球菌が大量に繁殖していることが最近の研究でわかってきました。なぜ黄色ブドウ球菌が繁殖してしまうかというと、
- 乾燥肌で保湿能力弱いため、有効な常在菌の数が少なく、黄色ブドウ球菌の繁殖を抑えられない
- 皮脂膜の形成能力が弱く、皮膚が黄色ブドウ球菌の繁殖しやすいアルカリ性になっている
- 皮膚に傷が付いているため自前の抗菌ペプチドを作る能力が弱まっている
- 傷口に血や浸出液があるため、黄色ブドウ球菌が繁殖しやすい
などの理由からです。アトピーのひとは、もともとの遺伝的要因によって乾燥肌だったり、皮脂膜の形成能力が弱いということもあるのですが、アトピーになり皮膚に常に傷があり、皮膚の再生が追いつかず不完全な角質層しか形成できていないということが、乾燥肌や皮脂膜の形成不全を加速させているのです。
つまりアトピーが原因で黄色ブドウ球菌が増え、黄色ブドウ球菌が増えたからアトピーが悪くなるという、負のスパイラルに陥っているのです。
そこで、
黄色ブドウ球菌を減らす→かゆみが減り、傷がなくなる→皮膚が再生する→皮膚のバリア機能が回復する→黄色ブドウ球菌が更に減る
というよいスパイラルにすることで、アトピーを改善することができるのです。
黄色ブドウ球菌はアトピーを悪化させる
黄色ブドウ球菌はそれ自体がアレルゲンになりますが、さらに他の抗原によるアレルギー反応も起こしやすくさせるという特徴を持っています。黄色ブドウ球菌は人間の皮膚免疫を撹乱するのです。だからこそこの黄色ブドウ球菌が増えるとアトピーが急激に悪化します。アトピーの汁が黄色になっていたらそれは黄色ブドウ球菌の仕業です。
私はある日それまで小康状態を保っていた皮膚が、一晩で腕と顔から汁が止まらなくなるということを経験しましたが、これも黄色ブドウ球菌が増えすぎたことが原因です。この時のエピソードについて詳しくはアトピーと感染症の恐怖を参照ください。
また黄色ブドウ球菌が繁殖している皮膚ではステロイドの効き目が弱くなってしまいます。それはステロイドが免疫を抑え炎症を抑える薬であるので、免疫が抑えられた結果黄色ブドウ球菌がより繁殖してしまうからです。そのため、こういったときは一度黄色ブドウ球菌を殺菌してからステロイドを使うとステロイドが良く効きます(もちろん、消毒だけでも十分効果があります)。
アトピーのひとは黄色ブドウ球菌が増えないように常に注意しておく必要があります。
黄色ブドウ球菌対策
それでは黄色ブドウ球菌の対策方法について説明します。注意していただきたいのは皮膚の状態によって取るべき対策が大きく異なるので、自分の皮膚状態と照らし合わせ参考にしていただければと思います。
抗生物質の内服(汁がだらだらと出る、じゅくじゅくが収まらない人向け)
抗生物質の内服はもっとも高い効果を示し、身体中の黄色ブドウ球菌を一掃しますが、副作用が強いので軽いアトピーの人は決して行ってはいけません。アトピーで汁がとめどなく出てくるという人だけ短期間の服用をしましょう。私が実際に感染を起こした時は、二日間の内服でじゅくじゅくはおさまりました。なお抗生物質は医者に出してもらう必要があるのですが、アトピーと感染症の関係について理解のある皮膚科でないと出してくれない可能性があります。アトピーが悪化したというよりも、皮膚の感染症にかかったと言ったほうが薬を出してもらえる可能性が高いでしょう。
さて抗生物質の重大な副作用として、耐性菌が出現することがあげられます。いわゆるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)です。これに感染してしまうと、ほとんどの抗生物質が効かなくなり、打つ手がなくなり、後遺症が残る、最悪の場合死に至ることもあります。抗生物質の使用は本当に重篤な時だけに留めるようにしましょう。
また他の副作用として、抗生物質が腸内の有効な細菌類も殺してしまい、腸内環境を悪化させるというものもあります。アトピーの本当の原因は皮膚免疫と腸内免疫にありで書いた通り、腸内環境の悪化はアトピーを悪化させるので、整腸剤をセットで飲むようにすると良いでしょう。
イソジン(じゅくじゅくや傷のある部分)
イソジン消毒は殺菌力が強いため非常に効果のある方法です。イソジンは1分ほどでほとんどの細菌やウイルスを殺菌できます。イソジンは医者によっては処方してくれますが、処方してもらえないときは、薬局やアマゾンで自分で買いましょう。比較的安価に買うことができます。なおここでいうイソジンは、うがい用のイソジンではなく消毒用のイソジンのことです。
使い方としては
- お風呂で身体を洗い、よごれをおとす
- 患部にイソジンを塗り一分間放置(肌に刺激を感じる人は2倍から3倍程度に薄めて使用する)
- シャワーやお湯でよくすすぐ(三分程度推奨)
という使い方です。イソジンは非常に強力な薬ですが、刺激が強くかぶれてしまう人もいるので、まずは身体の一部分から試すのがよいでしょう。また強い薬なのですすぎ残しがないように十分に気をつけましょう。
イソジン消毒を長期に続けると甲状腺の機能に問題が起きることがあるので、症状のひどい時のみの使用にとどめましょう。最初は毎日イソジン消毒を行っても良いですが、症状が良くなってきたら、頻度を減らし、最終的には下で紹介する他の対策方法に移行するようにしましょう。
超酸性水(じゅくじゅくや傷のある部分)
超酸性水(強酸性水)はその名の通り、pH2.5程度の強酸性の水です。イソジンにこそ劣るものの強力な殺菌効果があるので、じゅくじゅくしている部分に著効を示します。
使い方としてはスプレーでの使用がオススメです。超酸性水は吹きかけた後すぐに普通の水になってしまうので洗い流す必要がなく、持ち運びにも向いています。値段はイソジンに比べるとやや高い印象です。私は家での使用はイソジン、外出先での使用は超酸性水という使い分けをしていました。
皮膚状態がある程度良くなればイソジンを使わず、超酸性水のみを使うようにしています。
副作用として、皮膚への刺激が強く、長期間の使用は皮膚の肥厚化を引き起こすことがあります。長期の使用は避け、症状が良くなってきたら、下で紹介する他の対策方法に移行するようにしましょう。
アルコール(じゅくじゅくや傷のある部分)
アルコール消毒も殺菌効果が強いです。アルコール消毒のためには、消毒用エタノールを用いましょう。
注意点として、アルコールにかぶれる人やアレルギーがある人も多いので、まずは身体の一部で試してから使うようにしましょう。
使い方は身体の気になる部分に塗るか、スプレーするだけで非常に簡単です。スプレーに入れれば持ち運びも容易なので、オススメです。ただし傷口があるとめちゃくちゃ滲みるので覚悟が必要です。
イソジンに比べれば重篤な副作用は少ないですが、肌を乾燥させる傾向があるので、じゅくじゅくしている部分のみに使用しましょう。
ティーツリーオイル(強い乾燥部分)
じゅくじゅくはしていない肌でもアトピーで乾燥している部分は黄色ブドウ球菌が繁殖しています。この乾燥が強い部分に、イソジンや超酸性水やアルコール消毒を行うのは副作用の観点からオススメできません。そこでこういった乾燥部分にはティーツリーオイルの使用がオススメです。
ティーツリーは、オーストラリア原産のフトモモ科の樹木「ティーツリー」から抽出したオイルです。ティーツリーは抗菌作用が強い天然素材であり大きな副作用はありません。自分の肌に合う保湿剤にティーツリーを数滴混ぜて幹部に塗るようにしましょう。
ウエスタンレッドシダー(乾燥している部分や気になる部分)
これはヒノキ科のウエスタンレッドシダーから抽出された天然の原液です。基本的に大きな副作用はないようですが、刺激が強い場合は希釈して用いても大丈夫です。気になる部分に複数回スプレーで吹きかけましょう。スプレーを持ち歩き痒くなったらシュッシュッ吹きかければよいです。自分の肌に合う保湿剤などと混ぜて幹部に塗るのも良いでしょう。
入浴(全ての方対象)
アトピーが気になる部分を中心に石鹸でしっかりと洗い流しましょう。アトピー症状が軽度になれば比例して黄色ブドウ球菌の数も減るので、石鹸だけでも十分に殺菌することができます。ただし石鹸により肌荒れを起こさないように、合成界面活性剤の含まれていない無添加の石鹸を使用しましょう。繰り返しますが、軽度のアトピーの人は石鹸での殺菌のみで十分です。私はミヨシ石鹸の商品を使っています。
まとめ
アトピーの人は多かれ少なかれ黄色ブドウ球菌が皮膚で繁殖しており、それによってさらに症状が悪化しています。自分の肌の状態と照らし合わせながら、上記でまとめた対策方法を用いることで、アトピー症状の改善が見込めると思います、是非お試しください。
また黄色ブドウ球菌だけでなくカビの繁殖もアトピーの原因になっています。カビ対策でアトピーを改善も是非読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
このブログを「いいな」と感じていただけましたら、下のランキングバナーをポチッと押していただけますと嬉しいです。

