今回の記事は前回に引き続きアトピー体質についてです。
前回の記事でアトピー体質というのは存在するというところまでは書きました。
今回はそのアトピー体質についてより詳しく説明していきます。
目次
アトピー体質を分解すると
前回の記事でアトピー体質のことを、アトピーになりやすい体質と定義しました。さてこのアトピー体質ですが、さらに3つの大きな要素に分けられると私は考えています。
一つ目はアトピー素因としても挙げられているアレルギーの起こしやすさです。
二つ目は皮膚の強さ。
三つ目は、皮膚での病原性細菌の繁殖のしやすさです。
この3つの要素は、アトピーが発症・悪化するメカニズムから推察されます。
アトピーの発症・悪化の原因
アトピー体質について考えるために、まずはなぜアトピーを発症したり、アトピーが悪化してしまう人がいるのかについて考えてみましょう。
さて、アトピーを発症するのは、皮膚のバリア機能が壊れて皮膚に病原性細菌が多量に繁殖したとき、というのが最近の研究でわかってきている。
この皮膚のバリア機能の崩壊と病原性細菌の異常繁殖がアトピー発症のスイッチとなっているというのです。下の図でいうところのスイッチ1が押されるのです。
さらに継続的、断続的にこのアトピー発症のスイッチ1が押されることで、もう一つのスイッチ2も押されて、アトピーが悪化し、難治性のアトピーが完成します。
詳しくはこの記事も参照してください。
アトピーの原因解明か!? 話題の二重スイッチ数理モデルについて
このように、アトピーの発症(スイッチ1)には、皮膚の強さと皮膚での病原性細菌の繁殖のしやすさが大きく影響していて、アトピーの悪化(スイッチ2)にはアレルギーの起こしやすさが強く影響を与えているようです。
簡単にまとめるなら、アトピーを発症するのには、皮膚が弱かったりと、皮膚で病原性細菌が繁殖したから。そしてアレルギーを起こしやすい体質の人ほどアトピーの悪化の度合いが大きいということ。
三つの要因が揃うことで、重症アトピーが完成する
上で説明した、アレルギーの起こしやすさ、皮膚の強さ、皮膚での病原性細菌の繁殖のしやすさの三つの要因が揃うことで重症アトピーが完成すると考えられます。
逆にいうと、これら三つの要因のうちのどれかが満たされなければ、アトピーがそこまで重症化することはないのです。
どれだけ皮膚が弱く、皮膚で病原性細菌が繁殖しやすかったとしても、アレルギーを起こしにくい体質ならば、アトピーを発症したとしても重症化することはないのです。
またどれだけアレルギーを起こしやすく、皮膚で病原性細菌が繁殖しやすかったとしても、皮膚さえ強ければそもそもアトピーを発症しない、もしくはアトピーを発症しづらいのです。(代わりに花粉症や喘息などの他のアレルギー疾患を患いそうですが)
そしてどれだけアレルギーを起こしやすく、皮膚が弱くても、皮膚で病原性細菌が繁殖しづらければ、重症のアトピーにはなりにくいはずなのです。
アトピー体質の三つの要因について詳しく
上に述べたように、アトピー体質を構成するのは
- アレルギーの起こしやすさ
- 皮膚の強さ
- 皮膚での病原性細菌の繁殖のしやすさ
です。ではこの三つの体質について、なぜそのような体質になってしまうのかについて考察します。
アレルギーの起こしやすさ
アレルギーを起こしやすいかどうかは、親からの遺伝もありますが、幼少期の環境にも大きく作用されると私は考えています。
いわゆる衛生仮説というやつです。
衛生仮説によると、衛乳幼児期までの病原菌への感染や非衛生的環境が、その後のアレルギー疾患の発症を低下させるというのです。
両親がアレルギーもちだとアレルギーを遺伝する確率は60%を超えて、両親にアレルギーがない場合の3倍以上の確率であるとも言われているけど、アレルギーの起こしやすさは幼少期の環境でいくらでもリカバリーできるというわけ。
さて、アレルギーを起こしやすい体質というのは大人になってからでもある程度は是正することができる。それがストレスのない生活だったり、適度な運動だったり、食事だったりします。だからアトピーの人は生活習慣が大切と言われるのです。
とはいえ生活習慣を完璧に整えるのは難しい!!て人も多いはず。そういう人は一番手軽な方法でかつ効果も高い、乳酸菌の摂取をするといい。
皮膚の強さ
皮膚の強さの大部分が遺伝だと私は考えています。これは生まれつきのものなので後から鍛えることは難しいです。
例えば、アトピー患者の中にはフィラグリンやセラミドという保湿成分を作る能力に異常がある人がいます。
http://openi.nlm.nih.gov/detailedresult.php?img=2883069_bjd0161-0884-f2&req=4より引用
上の画像でいうと、一番左の人の手相が正常な人です。それ以外はフィラグリンやセラミドなどの生成能力に何らかの異常がある。
これなんか分かりやすくシワがあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/ichhabehunger0814/29452415.htmlより引用
こういう人は生まれつき皮膚が弱くて乾燥肌なので、アトピーに注意したほうがいい。
さて、逆に言えば、フィラグリンとかセラミド不足がアトピーの大きな原因になっている人だったら、フィラグリンやセラミドを補うことでアトピーが軽快する可能性が高いし、丁寧に保湿することで皮膚のバリア機能を補えばアトピーが良くなる。
保湿なんて面倒だとういう人にオススメなのはセラミドをサプリで摂るという方法です。これが一番簡単な皮膚の強化方法。
まとめると、皮膚の強さに関しては、遺伝の関与が大きい部分なので、できるのは丁寧な保湿と必要な栄養素の摂取だけと思ってください。
皮膚での病原性細菌の繁殖のしやすさ
さて上で説明した通り、アトピーの発症には皮膚での病原性細菌の繁殖が関わってきています。そしてこの病原性細菌が繁殖すればするほどアトピーも悪化します。そういう意味でアトピーの最大の原因だと私は考えています。
皮膚で病原性細菌が繁殖しやすいかどうかは幼少期の環境で大部分が決まると私は考えています。
つまり、幼少期に様々な感染症を経験し、エンドトキシンを多量に浴びていた人は、病原性細菌に対抗する能力を鍛えることができるので、皮膚でも病原性細菌が繁殖しづらい。
現代のような清潔な環境で育てられた人はこの能力を鍛えることができなかったがために、皮膚で病原性細菌が繁殖しやすくなってしまうというわけ。
また、皮膚で病原性細菌が繁殖しやすい理由に汗腺の機能が衰えているということもあります。汗腺がちゃんと機能していれば、抗菌ペプチドという成分がでて、皮膚で病原性細菌が繁殖できなくなるのです。
だからアトピーの人は何らかの方法で汗腺を鍛えるべきというのが私の意見です。
大人のアトピー体質は治らないが・・・
以上のように、アトピー体質というのは、遺伝によるものと乳幼児期の環境によってほとんどが決定されてしまうので、大人のアトピー体質を完全に変えることはできないです。
もちろん医学は日々進歩しているし、いつかはアトピー体質を治す方法が生まれるかもしれないけど、少なくとも、現代の医学でアトピー体質を完全に治すことはできないのです。
とはいえ、大人になってからでも、乳酸菌の摂取だったり、セラミドの摂取だったり、汗腺の強化だったりできることはいくらでもあるので、そんなに悲観的になる必要はないです。
アトピー体質は治らなくても、少なくともアトピー自体を軽快させることはできるのです。
そのための方法をいろいろ載せているので、参考にしてね。
まとめ
アトピー体質は
- アレルギーの起こしやすさ
- 皮膚の強さ
- 皮膚での病原性細菌の繁殖のしやすさ
の三つから構成されています。
アトピー体質は遺伝によって決まる部分と、乳幼児期の環境によって決まる部分が大きいので、大人のアトピー体質は治らないけど、アトピーを治すことはできる。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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